【子育てはなぞときQ&A集】できないことにチャレンジしようとしない(5歳)

※この記事は2018年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。

※英語・中国語版あり

 

Q. できないことにチャレンジしようとしない(5歳)

 

お友達とのゲームや鉄棒などで、自分はできない、負けそうだと思うと、機嫌が悪くなって

やりたくないモードになります。頑張ろうとかチャレンジしてみようとする気持ちが

出てこないようで心配です。どのように声を掛ければ頑張れるのでしょうか?


 


A.

自尊心があり、プライドもしっかり持っているということですね。

これはこの子の持っているプラス面でもあります。

 

実はこういう子は大きくなると化けるんです。

小さいうちはそうでも、成長する中でこれはどうしてもというものが出てくると、ちゃんと頑張るんです。

 

子どもは、できないことができるようになり、わからないことがわかるようになります。

その子にとって確実に大丈夫という時期までやらないけれど、大丈夫と思ったらやる。

時期があるのです

 

ただ、自分の判断で無理そうだと留まっている時期にお母さんから勧められると、すごく不安になります。

だから「今回はやらないで様子を見ているんだね。他の人がやってるのを見るとコツがわかるよね」

などと声を掛ける。そういうサポートの仕方をしてください。

 

鉄棒で逆上がりができない時に「怖いよね、気が進まないよね、よくわかるよ」と、

ちゃんと今やりたくないという気持ちを尊重してあげる。

それも黙っているだけでなく、口に出して言ってもらうとすごく安心するんです。

 

そこで「みんながやってるの見てみようね、あの子の回り方上手だね」「鉄棒の握り方が違うね」とか、

お母さんが見て気がついたことを言ってください。

お母さんが一緒に見ることで、実はコーチをしていることになるのです。

 

「みんながいるところでやるのは恥ずかしいから、今度誰も見ていないところでママとやってみようか」

と言ったりして上手な助け舟を出して、見ているということを否定しないでください。

スポーツを見ると興奮しますよね。

見るのも、スポーツをやっているのと同じなんです。

だから「私見てるわ」と言った時に「そうだね、見てるのも楽しいよね」などと言ってもらえると、

子どもって違ってきますね。

 

相談の場で「いつもうちの子は指をしゃぶって、保育園や幼稚園でみんなのやっていることを見てる」

という話をよく聞きます。

 

うちに帰ってくるとやるんだけど、みんなと一緒にやるときは見ているだけで何もしない。

だけど、帰り道に「今日は楽しかったね」という言葉を言うんですって。

見ることで安心して楽しむということも、とても大事な経験なのです。

 

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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)

 

73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』