④最悪のことが起こらないために【子育てはなぞとき】講演&相談会抜粋

 

※この記事は2018年に開催された「園や学校生活に不安を感じたとき、親の心がまえと対応」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。

※英語・中国語版あり

休み明けは、子どもたちが命を絶ちます

内閣府の平成27年のデータによると、過去42年間で子どもの自殺が一番多いのが、夏休み明けです。学校が始まる当日の朝か、前日に命を絶つ子どもが圧倒的に多いんです。

その次に多いのが、4月の新学期。4月6~8日くらいのところと、GW明けが多い。それからお正月休み明け。

 

この子どもたちは、行くのが辛いと渋っていたり、生活リズムが崩れているけど、学校に行きなさいと、親や先生に言われて休まずに頑張って行って、いよいよ辛くなる長期の休み明けに、命を絶つのです。

これが過去40年以上の統計で明らかに出ているのです。

 

よく、子どもが命を絶つと家庭の問題だと言われるけれど、じゃあ家庭にいる時期はどうでしょうか。

7月20日頃から夏休みでお盆明けまではお家にいますよね。その時期はやっぱり少ないんです。

お休みの時は子どもは安心していられる時期です。それから12月のお正月が明けるまでも、ぐっと自殺率が低いです。

だから、子どもはうちにいれば死ななくて済むんです。

 

休める子どもは、命を絶つことをしないで済む

9月の時期の子どもはどういう状態かというと、五月雨登校、つまり休みながら学校に行くのが1学期から続いていて、2学期あたりから本格的に休み始めて不登校状態になることが多いです。

 

自殺のピークと子どもが休み始める時期は重なります。休めなかった子どもの中で、学校でのいじめがひどい、先生の体罰がひどい、もう生きていかれないと思っても、お父さんお母さんが行きなさいと追い出すから、うちにもいられないという状況の子が命を絶っていく。これが過去40年のデータからはっきり出ています。

不登校も1990年から増えていますから、そういった意味でも、学校が子どもたちにとっていかに辛いところになってきているかということをデータが物語っています。

 

一人一人の子どもの大変さや辛さは親にしか見えない。

でも、大きく視野を広げて見てみるとこういう状態だということをしっかり理解してあげて欲しいと思います。

 

カウンセラー:

内田良子

73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』