※この記事は2018年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。
※英語・中国語版あり
Q. ご飯を食べなくて困っています(1歳)
自己主張が強くて、食べたくないものは絶対に食べません。食べさせても口から出してしまいます。
果物やシチューなどの洋食系も一切食べなくて困っています。
保育園で食べられないものがあると、今は0歳クラスなので先生が配慮してくれているけれど、
次の1歳クラスになるとおやつがあるので、おやつで出たものが一切食べれらないということになると
足りなくなるのではと心配しています。
A.
子どもって成長にあわせて食べ物が変わってくるので、そのうち食べるだろうと構えていていいと思います。
本来食事は楽しく食べたいですよね。楽しく食べる時は食欲も増すんです。
でも「食べなさい食べなさい」と言われると緊張して余計食べなくなる。
「食べなさい食べなさい」は逆効果なんです。
私が出会った20代後半の方は、食べられる野菜が白髪ねぎだけだったんです。
その理由というのが、お母さんが好き嫌いのない子に育てたいと言って、
小さい頃からいろんなものを用意してお口に入れていた結果、野菜を一切受け付けなくなったんです。
でもさすがに2、3歳の子に白髪ねぎは作らなかったんですね。
これだけは食べさせられたことがない、だからこれだけ食べられると。
全部食べさせられた結果として、みんな拒否してしまった。心が拒否するんですね。
そういうこともあるので、とにかく頑張って食べさせるのはやめたほうがいい。
兄・姉が野菜嫌いで「食べなさい食べなさい」と言うと先ほどの食べない派になるわけですが、
それを見ていた下の子は野菜を食べるとお母さんが喜ぶというのを学習し、兄・姉が食べたがらないものを
ことごとく食べるようになるのです。
そのくらい、食べるというのは子どもにとって心理的なことが影響するのです。
一番いい方法は、目の前でお父さんお母さんが「美味しいね」と食べることです。
「子どもってどうしてこの美味しさがわからないんだろうね~」みたいな話をしていると、
なんでも真似したがる子どもたちにとっては、こんなにまずいものを美味しいって言うのか、
と思いながらもだんだん口に入れるようになる。
もう一つは、苦手なもの、嫌いなものを一口でも口に入れた時に
「一口食べてくれたね」「お母さんが作ったものを食べてくれて嬉しいな」と言ってください。
お母さんが嬉しいと言うと、それだけで食べる動機になるんです。
自分の好みやその時の気持ちを尊重してもらうことと、それから頑張って一口でも半口でも口に入れた分、
お母さんが喜んでくれる。
子どもって何よりも母に喜んでもらいたい人たちなんです。
どんなことよりもお母さんが嬉しいと思ってくれることが一番子どもをハッピーにさせるんです。
一口食べたら「嬉しいわ」と言ってくれることが食べることの演出になるので、
そういったことを楽しみながらやっていただくといいかなと思います。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』