※この記事は2019年に開催された「園や学校に行きしぶるとき 親の心がまえと対応」講演&相談会の内容を
抜粋し編集したものです。
※ 英語・中国語版あり
Q. 保育園のお昼寝を嫌がって不登園になりました(5歳)
去年の夏に、小さな保育園から大きめの幼稚園併設の保育園(子ども園)に転園しました。
0歳から4歳まではいき渋りながもなんとか通っていたのですが、園が変わった途端嫌だとなって、
慣れないからだろうと思って無理に連れて行ったところ、今までに見たことがないような嫌がり方、泣き方をしたので
そんなに苦しいんだったらということで行かせなくなって、今数ヶ月不登園が続いています。
行きたくない理由としては、全然楽しくない、昼寝をしたくない、早く帰りたい、
他の子が帰るのになんでまだ帰れないんだ、などと言っています。
最初は慣らそうと、お昼寝前に帰るようにしていたけれど、少し長く預けようとお昼寝ありで預けようとしたら
嫌がりました。お昼寝なしのまま通わせようとしたけれど、その時点ではもう行くのも嫌だとなってしまいました。
A.
お昼寝をしたくないというのは、保育園で登園拒否になる子どもの大きな理由の一つです。
夜の21時くらいまでに寝ないと成長ホルモンが出ないということで親御さんたちは早く寝かせようと
しゃかりきになっていますが、実は子どもの睡眠のリズムを崩す一番大きな要因の一つが、
保育園のお昼寝と言われているんです。
そもそも寝ることを必要としなくなった子どもたちを2時間くらい寝かせてしまう。
だから睡眠リズムが崩れるのです。それで行きたくないという子がすごく多いです。
最初に子どもが嫌だと言った時、ちゃんと受け取ってそれに対応できていれば、子どもは行き続けられる、
もしくはちょっと休んだらまた行くことができます。
だけど嫌だ嫌だというのを重ねて、心の拒否が強まった場合は、なかなか元に戻るのに時間がかかります。
いい子にしてる時はよしよしと受け入れられるけれど、存在をかけて嫌だと自己主張した時に受け取ってくれない。
それは大きな恐怖であり、親への不信感になるのです。
子どもが自分の存在をかけて嫌だと主張したことをちゃんと大人が受け取ってくれると、安心します。
「お昼寝が嫌なんだね、わかったよ。もう大きいからお昼寝はいらないよね。」と。
そうすると安心して、逆にお昼寝する子もいるんです。
だからまずは、子どもの主張を聞く。
その上で、できることとできないことがありますよね。
できることについては、一緒に解決する。
お父さんお母さんが「今日はどうしてもお迎えに来られないんだよ。だからこの日だけは協力してほしい」
というと、お父さんお母さんの役に立つんだと気持ち良くやってくれるんです。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』