【小児科医監修】いい「菌」がいなくなるとアレルギーが増える?③[講演&相談会抜粋]

【小児科医監修】

いい「菌」がいなくなるとアレルギーも増える?③[講演&相談会抜粋]

 

※この記事は2018年に開催された「ワハハ先生に聞く 子どもの病気への考え方と対応のしかた」講演の内容を抜粋し編集したものです。

※英語・中国語版あり

 

私たちは、細菌とウイルスでできている!

 

私たちの先祖をずっとたどっていくと、もとは細菌だったと言われています。

それだけではなく、私たちの体の中には、もとは細菌やウイルスだったものがたくさん残っているのです。

 

今は高校の生物学の教科書に、細胞内共生説というのが出ています。

 

簡単にいうと、私たちの37兆の細胞のそれぞれに核があって、核の周りにオルガネラという

いろんなものがあるんですけど、その中の一つにミトコンドリアがあります。

ミトコンドリアは、私たちが活動していけるエネルギー源を作る工場です。

このミトコンドリアが元は細菌だったということが、細胞内共生説というものです。

 

私たちの体の中に細菌が入ってきて、もとは細菌だったものがだんだん人間になって、

また外から細菌やウイルスが入ってきて、私たちの体の中で生き延びていくためにどんどん変化していって、

ついに私たちの体の一部分になってしまった、ということです。

 

 

抗生物質は腸内細菌を殺してしまう

 

今いろんなアレルギーの病気が増えている原因の一つが、

小さな頃に抗生物質を使いすぎているからじゃないかと言われています

 

抗生物質は細菌をやっつけるために飲むんですが、お腹の中にも入ってしまうわけです。

お腹の中の常在菌と言われる私たちの体を守ってくれる菌を減らしてしまうのです。

先ほどのピロリ菌の話でも、ピロリ菌が少なくなったのは抗生物質の飲み過ぎじゃないかと言われています。

 

そういうこともあって、特に小さい子どもの風邪に抗生物質を使ったりするな

ということを言われるようになりました。

 

そして、抗生物質をはじめとした子どもの薬を再検討することになってきたんですが、

そうすると風邪の薬と言われるものはほとんどどれも必要がない、

むしろ害のほうが多くてプラスがないということになってきました

 

それで実際薬を減らしてみても治り方は同じということがわかり、

子どもの自然治癒力はすごく大きいものだということがわかったんです。



 

不潔な育児のススメ

『衛生仮説』という言葉を聞いたことはありますか?

 

戦後医学の歴史は主に感染症という、うつる病気、細菌とかウイルスの病気に対する戦いで、

そこでは細菌やウイルスは悪いものであって、これをやっつける、征服するということを

目標にしてやってきました。

そうして感染症や細菌に対しては抗生物質、ウイルスに対しては予防接種という二つの武器を使って

大体征服したと言っているけれど、いろんな例外も出てきて、今はそれを見直すということになってきました。

 

『衛生仮説』というのは、小さい時に清潔にしすぎると感染症やアレルギーの病気を起こしやすくなる

というものです。

 

例えば土は、細菌の宝庫です。

大村智さんという人が土の中から見つけた菌でノーベル生理学・医学賞をもらいましたね。

土は、まだ私たちにはわかっていないけれど役にたっているものがものすごくあるはずなんです。

 

最近は不潔な育児のすすめみたいなものも出てきました。

どのくらい不潔にしたらいいんですかと聞かれることがあるんですけど、

わざと不潔にする必要はなく、基本的に「清潔清潔」と言わないということです。

いわゆる除菌というのは、有害無益だと思います。

 

 

異物には早めに触れたほうがいい

 

私たちの体は、異物と異物じゃないもの、異物と思ってはいけないものを見分ける力を持っています。

生まれてすぐ体の中に入ってくるものは全て異物ですが、母乳を拒否することは普通ないですね。

 

入ってくるものを腸が判断して、これは栄養だから吸収しないといけないものは吸収して、

異物だと思うものは吸収しないという判断をするわけですが、

それはおそらく私たちの体の中にものすごく膨大なデータを持ったコンピュータみたいものが備わっていて、

これは出せとか、これは入れろだとか命令しているのだと思うんです。

 

異物であっても受け入れることを免疫寛容といいますが、

この力は小さいときほど働いているということがわかってきました。

 

今までアレルギーになりやすいものは食べるのを遅くしていましたが、むしろ早いうちから取っておくといい

ということです。量はほんの少しから始めないといけないけれど、早い方が受け入れられやすくなります。

 

例えば、生まれた時にペットがうちにいる子といない子と比べると、

ペットがいた子の方が大人になって動物アレルギーになりにくいということはほぼ確定しています。

やはり小さいときに慣れておくことが大事なのです。

 

そういう意味では、細菌の宝庫である土にもなるべく触れた方がいいし、

外で遊んだりして活発に動くことで免疫力が高まります。

 

病気の時でも、軽い病気なら大抵は動くことの方が免疫力が高まっていいので、

変に安静にしたり大事にしないで、子どものしたいようにさせるのが結果的にはいいのだと思います。

 

【小児科医監修】「細菌」に守られている赤ちゃんのからだ①(講演&相談会抜粋)

【小児科医監修】「病原菌」は特別な場所にしかいない②[講演&相談会抜粋]

…………………………………………………………………………………………………

医師:山田真(ワハハ先生)

東大医学部卒。小児科医として約50年診察を続けている。八王子中央診療所所長。

「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表、

育児専門誌「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」編集協力人。

「自由に生きる、笑って生きる」をモットーに、親しみやすい町医者として、

子育て中の親の強い味方。

『初めてであう小児科の本』『小児科BOOK』『子どもに薬を飲ませる前に読む本』

『育育児典』『はじめてのからだえほん』など、育児書から絵本まで著書多数。