③心身の体調を崩し始める 【子育てはなぞとき】講演&相談会抜粋

※この記事は2018年に開催された「園や学校生活に不安を感じたとき、親の心がまえと対応」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。

英語・中国語版あり

 

 

 

 

こんな体調変化には要注意!

「行きたくない」「いつからお休みなの?」など、直接的、また間接的に「行きたくない」と言う時期は、まだなんとか行けている時期です。

 

口では行きたくないと言えなくなり、体が無理だと訴えるようになると、親としては身体症状をちゃんと受け入れるのがポイントになります。

 

まず、ストレスから持病が悪化します。

喘息やアトピー性皮膚炎、慢性の腎疾患などがある場合に、悪化する。それに対して医療的なケアをしてるのに、それが効かず、持病が悪化する。

 

それから、風邪を引く。

風邪を一度引いたら、なかなか抜けない。

3ヶ月から半年くらい平気で引きずってしまうということがあります。

 

風邪と合わせて、咳が出る。

風邪が治っても咳が止まらないということで、チック様の咳が続く。

チック様の咳が続くと、これは風邪だろうと周りが対応することもよくあります。

 

それから、怪我をしやすくなる。これは要注意です。

 

学校でもお家でも、気持ちがここにあらずという状況で、子どもなりに悩みや心配事をたくさん抱えているので、周りを注意したりする条件反射的な反射が一歩から半歩遅れる。

だから学校で集団行動するときに階段から転げ落ちるとか、プールに沈んじゃうとか、そういったことが起きていたりします。

 

階段から落ちて怪我をするんだけど、よくよく聞いてみると突き落とされた、みたいなことも起こってます。

いじめられているのに学校に無理して行っているとそういうことが起きやすくなります。

 

それから交通事故に遭いやすくなる。

信号を見誤ったり、行きたくない、イヤだな、死にたいな、などと思っているときは、事故を呼び込む心理状況になります。

信号のところで起こる事故なので、ボンネットにはね上げられるとかちょっと弾き飛ばされるとかで致命傷にはならないんですけど、登校の時に交通事故に遭いやすいということがあります。

 

それから、先ほど出てきた身体症状。

よく小児科に来る子どもたちの訴えは、まずお腹が痛い、頭が痛い、熱を出す、といった起立性障害。

それから泌尿器系でおもらしをする、下痢をする、便秘がひどくなるということで、休んで病院で受診をしながら、でも検査をするとどこも具合が悪くないと言われるのでこれから学校に行きましょうと言って、さみだれ登校する。そういう時期は、身体症状が出ている場合が多い。

 

その他の体の不調としては、足が痛い、歩けなくなる、喋らなくなる。

場面緘黙といって、特定の場所で声が出なくなって喋れなくなる、喋らなくなるというのがあります。

 

それから円形脱毛が出る。

それからチックと同じようなメカニズムなんですけど、自分で無意識に抜くというので抜毛なんかも出ます。

こういうことのいずれかが起こってくる。

 

学校を休むまでいかなくて、こういう状態になっても幼稚園、保育園、小学校、中学校に行っているお子さんはたくさんいると思います。

 

だから、その時に親御さんが「今までなかったこういうことが始まったのは、子どもが何か心に抱えたのかもしれないな」とちょっと立ち止まってください。

 

生活に辛いことがあるかもしれないということで、しつけよりも子どもの状況を気遣う対応になると、子どもが「実はこういうことがあって辛いんだ」と言ってお母さんが「無理しなくていいよ、休んでいいよ、おうちにいてもいいよ、あなたが一番大事なんだから。学校よりあなたが大事よ」という風に言葉にして言ってくれると、子どもはすごく安心して「いじめられていると言っても情けない子ねと思わないでくれるな」と思って、言えるようになります。

 

子どもは、お母さんにいい子だと思ってもらいたい人たちなんです。

 

だからお友達にいじめられる、仲間はずれにされる、

そういう情けない子と思ってもらいたくない。

誰からも好かれてお友達とうまくやっていける子どもだって親に思ってもらいたいんです。

 

だから「いじめられてる」って親に言う子は、本当にいません。

 

最近出た本で、「子どもをいじめで死なせない」というのを日本テレビのキャスターをしている岸田雪子さんという方が書かれたんですけど、その中で子どもが「いじめられてる」と言った時は、最後のレッドラインなんだと。だからそういう時は、子どもをちゃんと安全な場所に避難させて欲しいということを書いてますけど、全くその通りです。

 

それから先生の厳しい指導にあってる。これも言わないですね。

先生にいい子だと認められて、つつがなく学校生活を送ってるという風に親に思ってもらいたい。

 

お父さんお母さんにとってのいい子であるために、なかなか困難な状況を言わない。

だから子どもたちはいよいよ辛くなると、休まないで命を絶つ子が出てくるわけです。

 

つづく

>>

カウンセラー:

内田良子

73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』